〈連想第76回〉
前回まで10回に渡り厳選して取り上げてきた「すぎやまこういち」先生のドラクエシリーズですが、今回で最終回といたします。
実はシリーズ史上最大の売上数(430万本)で、ニンテンドーDSソフトとしてリリースされたⅨ。
シリーズ初にして唯一のオンラインゲーム、MMORPGのⅩ。
そして、PS4、ニンテンドー3DS、switch、xboxなどからリリースされた30周年記念の最新作のⅪ。
今回は、すぎやまこういち先生がいまだ現役で活躍されていることに感謝と喜びを感じつつ、上記3つの作品から5選します。
1 祈りの詩(Ⅸ)
Ⅸで様々なエピソードでかかる曲です。
悲しげなメロディーがエピソードとはまり泣けてきます。
Ⅸの中でも一際美しく切ない曲となっています。
2 負けるものか(Ⅸ:戦闘)
Ⅸの通常戦闘曲です。
いつもとは少しだけ趣が違い、危機感迫るかっこいい曲です。
毎度のことですが、戦闘曲がかっこいいと戦闘が苦にならなくなります。
3 あの丘を超えたら(Ⅹ:フィールド)
Ⅹは唯一のMMORPGとして、膨大な世界と曲が用意されており、その中には過去の作品の曲が多数使用されています。
そんな中でこの曲はⅩのオリジナルのフィールドテーマの一つです。
とても和やかで癒やされる曲調の中にかっこよさもある流石な一曲です。
4 にぎわいの街角(Ⅺ:街)
Ⅺの街のテーマです。
Ⅺは、30周年記念作品ということで原点回帰を図った作品で、タイトルも「過ぎ去りし日を求めて」。
タイトルだけで泣きそうになってきますが、そんなコンセプトもあって、曲についてもⅩと同様過去作品からのものが多数使われています。
そんな中でこの曲はⅪのオリジナル曲。
いかにも「ドラクエの街」という感じの明るく元気な曲で、その中にも美しさがあるところもいつもながら。
毎度おなじみの安心感、これが30年も継続しているなんて奇跡です。
そしてそれがとても嬉しくたまらない気持ちになります。
5 序曲(Ⅺ)
30年の時を経て、今なおこの曲を「新作」として聴けることの感慨深さと言ったら、言葉では表現できないほどです。
何パターンもあるこの序曲。Ⅰの時に数奇な出会いから始まり5分で作ったこの曲が、30年に渡って世代を超えて親しまれ、多くの人の心に深い感動や想い出を残してくれている…
ここまで巨大で偉大なものになるとは、ドラクエ世代ど真ん中で、ドラクエと共に歩んできた自分としても、本当に嬉しく、この時代の一員であることへの感謝と感動で胸いっぱいになります。
ドラクエシリーズは、この序曲で終わりにしたいと思います。
この度、すぎやまこういち先生が2020年度の文化功労者に選出されたことを受けて、これまで12回にわけてすぎやまこういち先生の音楽を取り上げてきました。
あらためましておめでとうございます。
ドラクエの音楽は、ゲーム音楽というものの格や知名度をもののすごく上げた存在だと思います。
ドラクエの音楽は、ベースはクラシックでありながら、とても日本的な響き、雰囲気を感じます。
すぎやまこういち先生も自ら「日本ぽさというものは狙って出すのではなく、自然と滲み出るようなもの」というような趣旨のことを言われていましたが、まさにそのとおり、すぎやま先生の血肉に流れる日本的な感覚が自然と現れ、このような唯一無二のオリジナリティ溢れる素晴らしい音楽が生み出されているのだと思います。
ゲームの名曲と言えば、他にもFFシリーズやロマサガシリーズ、クロノ・トリガーなどのスクウェア系のゲームを筆頭にたくさんありますが、ドラクエの礎があってのものではないでしょうか。
これらのゲーム音楽もいずれまた別のかたちで取り上げていきたいと思いますが、ここでは一旦ゲーム音楽を離れ、ドビュッシーの回で置き去りにしていたショパン関連作品に戻ろうと思います。
というわけで次回は、だいぶ回をさかのぼりますが、ドビュッシーの回で取り上げたショパン関連作品の、元となったショパン自身の作品を取り上げます。