〈連想第10回〉
前回取り上げた「ピート・ロック」は、「ドナルド・バード」をサンプリングした名曲を作っていますが、この「ドナルド・バード」もまた、「アーマッド・ジャマル」の凌ぐほどヒップホップにサンプリングされまくっているアーティストです。
「ドナルド・バード」と言えば、「ジャズメッセンジャーズ」のトランペッターで、「マイルス・デイヴィス」や「ジョン・コルトレーン」と渡りあったエリートハードバッパーという経歴を経て、「ミゼル兄弟」による「スカイ・ハイ・プロダクション」の洗練されたおしゃれなジャズソウル・ジャズファンクのトランペッターとしても名作をたくさん残したレジェンドです。
今回はそんな「ドナルド・バード」が、「ラリー・ミゼル」と「フォンス・ミゼル」のミゼル兄弟による「スカイハイプロダクション」がプロデュースする曲から5選します。
1 Places And Spaces(1975)
ブルー・ノートから出されたアルバム「places and spaces」に収録されているタイトル曲。
前回取り上げたピート・ロックの「オール・ザ・プレイス」のネタです。
ドナルド・バードのトランペットはスカイ・ハイ・プロダクションと相性がよく、「スカイハイ」という名前のイメージどおりの心が解放されるような清々しさを感じる曲です。
2 Flight Time(1972)
スカイ・ハイ・プロダクションとしてのファーストリリース、ブルー・ノートからリリースされたアルバム「black byrd」に収録されている曲。
冒頭の箇所が、ナス「illmatic」に収録されている「NY state of mind」のサンプリングネタです。
ジャズファンクの趣が強めのかっこいい曲です。
3 Wind Palade(1975)
↑1と同じく「places and spaces」に収録されている曲。
ブラックムーンが「buck em down」でサンプリングしていることでも有名です。
かっこいいAメロから→胸にしみる心が解放されるようなBメロ、というスカイ・ハイ・プロダクションの1つのパターンに当てはまる曲。
Bメロのドナルド・バードのトランペットが泣けます。
4 Stepping Into Tomorrow(1974)
アルバム「stepping into tomorrow」に収録されているタイトル曲。
とにかくめちゃめちゃかっこいいです。
特にBメロの解放感がものすごくて時間と空間がトリップするような感覚になるほどです。
マッドリブがカヴァーしています。
5 Just My Imagination(1975)
アルバム「places and spaces」から今回3曲目。
この曲、個人的にドナルド・バード×ミゼル・ブラザーズのフェイバリットで、最高過ぎていつ聴いても感動し鳥肌が立ちます。
イントロのコーラスにトランペットが被って入ってくるところから開放感・解放感がMAXでたまらない気持ちになり、2:22〜2:56までの長いリフを経て、気持ちがどんどん高まり2:57のトランペットで解き放たれる!時の開放感・解放感はMAXを超えます。
マッド・フレイヴァというテキサスのヒップホップクルーが1997にリリースした「can’t get enuff」でサンプリングしています。
今回はジャズ・ソウル・ファンク・フュージョントランペッターのドナルド・バードを取り上げました。
いずれハード・バップ編もやりたいと思っています。
今回はすべてスカイ・ハイ・プロダクションのミゼル兄弟プロデュースのものを取り上げました。
ドナルド・バードはミゼル兄弟の活動の中心的な存在でしたが、他にも様々なアーティストをプロデュースしています。
次回は全盛期の「ミゼル・ブラザーズ」がドナルド・バードをプロデュースした曲を5選します。