マルコス・ヴァーリ 5選

ラテン・ボサノヴァ
ラテン・ボサノヴァ

〈連想第21回〉

前回取り上げたエリス・レジーナと完全に同時代に活躍したシンガーソングライターであるマルコス・ヴァーリは、ボサノヴァをベースに時の先端のサウンドを取り入れブラジルのポップスを牽引しました。

MPBの代表格とも言えるそのサウンドは、AORやハウスなどとも融合し、現代まで生き続けています。

シンガーとしてのスタイルは、ジョアン・ジウベウト直径の脱力系ですが、憂いを帯びたジョアンに比べて、明るい響きを感じます。

今回はそんなマルコス・ヴァーリから5選します。

1 Garra(1971)

アルバム「garra」に収録されているタイトル曲。

マルコス・ヴァーリと言えばこの曲、という感じの典型的なエムペーべーな曲で、爽やかさと開放感が溢れています。

2014ワールドカップREMIXなるものもあり、これがまた良かったので、両方リンクします。

2 The Answer(1968)

大名盤「samba’68」の1曲目に収録されている曲。

アルバムタイトルの「サンバ」とは名ばかりの全面ボサノヴァなアルバムです。

全曲アストラッド・ジウベウトっぽい歌声の妻アナマリアとデュエットしていて、アレンジはエウミール・デオダートです。

とても穏やかで明るくほのぼのとしたボサノヴァの魅力全開のアルバムです。

この1曲目がアルバムの全てを物語っているとも言えると思います。

3 The Face I Love(1968)

アルバム「samba’68」からもう1曲。

スタンダードナンバーのオリジナルです。

相性がバッチリすぎる奥方とのデュエットが最高すぎて、楽曲の素晴らしさと相まって感動的です。

4 Nao Tem Nada Nao(1973)

名盤「previsao do tempo」収録されている、サウンドの新しさが時代の先を行っているめちゃめちゃかっこいい曲。

バックバンド「アジムス」のサウンドがかなり時代の先端を行ってます。

5 Amor De Nada(1963)

アルバム「samba demais」に収録されている、弟のパウロ・セルジオと共同で作ったスタンダードな大名曲。

歌声、ギター、メロディー、コード進行、そしてエウミール・デオダートのアレンジと全てが最高で、数あるボサノヴァの傑作の1つだと思います。

マルコス・ヴァーリはなんと2020年3月にニューアルバムをリリースしており、近年は来日公演も行うなどバリバリ現役で活動しています。

常に時代の先端を切り開いてきたマルコス・ヴァーリ、そのソフトで穏やかな歌声は健在です。

次回はマルコス・ヴァーリの憧れの存在で、音楽の道を目指すきっかけとなったレジェンド、ボサノヴァの創始者ジョアン・ジウベウトを取り上げます。