〈連想第24回〉
前回取り上げた「チェット・ベイカー」や「ジェリーマリガン」らと共にウェストコーストジャズの一翼を担った存在に、「デイヴ・ブルーベック」&「ポール・デスモンド」がいます。
デイヴがピアノ、ポールがアルトサックスで、二人は名コンビでとても相性がよく、実際に長期間にわたり数多くの演奏、録音を共にした盟友でした。
クールで整然としたウェストコーストジャズのイメージそのままに、より知的でクラシカルな演奏が特徴です。
聴いていてすごく清涼な気分になるというか、耳障りがよく、どこかアカデミックな印象があります。
今回はそんなデイヴ・ブルーベックとポール・デスモンドの曲を5選します。
1 Take Five(1959)
「どこかで聴いたことがあるジャズ」であろう広く認知されている定番曲、珍しい5拍子という形式なので「テイク・ファイブ」。
名盤「time out」に収録されています。
クールでかっこよく、それでいてメロディアスな名曲です。
2 Alice In Wonderland(1957)
ディズニー映画「不思議の国のアリス」のテーマ曲で、ジャズではよく演奏されるスタンダードナンバーです。
全曲ディズニーの曲を集めたアルバム「dave digs desney」の1曲目に収録されています。
とても美しい冒頭のピアノは、半音階進行の部分がショパンやワーグナーを彷彿とさせるクラシカルな響きを感じます。
3 These Foolish Things(1975)
ポール・デスモンドは52歳という若さで肺がんで亡くなりましたが、その2年前、盟友デイヴ・ブルーベックとデュエットしたアルバム「the buet」に収録されているジャズのスタンダードナンバーです。
デビュー当初から亡くなるまでの間、ずっと良きパートナーだったなんて珍しいのではないでしょうか。
二人の仲を考えると目頭が熱くなります。
胸にグッとくる名演です。
4 Everybody’s Jumpin’(1959)
名盤「time out」からもう1曲。
静かな語り口から熱いものを感じる、クールながらテンションが上がるめちゃめちゃかっこいい曲。
デイヴとポールコンビの真骨頂のような演奏です。
5 Georgia On My Mind(1959)
アルバム「Gone With The Wind」に収録されている大スタンダードナンバー「ジョージア・オン・マイ・マインド」です。
脂の乗りきった時期に収録された一曲で、飾り気がなくシンプルながら深みのある心に響く演奏で感動します。
デイヴ・ブルーベックとポール・デスモンドは、西海岸のジャズミュージシャンとして、真面目だけど華がある、そんな名曲を数多く残しました。
そんな彼らと共演したミュージシャンの一人に、「ウェストコーストジャズ」という括りで語られることはないのですが、同時期に同じサンフランシスコで活躍していたアーティストに、ヴィブラフォン奏者のカル・ジェイダーがいます。
彼らはキャリアの初期に共に演奏し、アルバムも残しています。
次回はウェストコーストジャズの本場に身を置きながら、独自のラテンジャズの路線を歩んだカル・ジェイダーを取り上げます。