〈連想第33回〉
ブルックリンのグループ「フー・シュニッケンズ」は、前回取り上げたア・トライブ・コールド・クエストと同じレーベルjiveに所属し、同じくネイティブ・タン一派でもありました。
さらにメンバーのポック・フーはトライブのファイフと従兄弟で、フューチャリングした曲も作っているなど繋がりの深い関係でした。
メンバーは、超早口ラップ「チップ・フー」、ファイフの従兄弟「ポック・フー」、それと「モック・フー」の3人で、トライブ達のようなネタ感の強いメロディアスな曲調ではなく、ニュースクールのもう一つの典型的なサウンドである、ごきげんでノリノリでゴリゴリな曲調を特徴としました。
1996年には活動停止してしまい、活動期間は短かったものの、そのノリノリなサウンド、たたみかける早口ラップ、レゲエのフロウやネタを用いるなど、その後のシーンに対して強烈なインパクトを残しました。
今回は、そんなフー・シュニッケンズから6選します。
1 La Schmoove ft.Phife Dawg(1992)
ファイフをフューチャーしたシングル曲。
ファーストアルバム「f.u. don’t take it personal」に収録されています。
一番最初にラップしているのが、ファイフの従兄弟のポック・フーです。
やはりどこか顔も声もたたずまいも似ていますね。
フー・シュニッケンズ最大のヒット曲です。
元ネタは大定番の「ザ・もホークス」「the champ」の冒頭です。
2 True Fuschnick(1992)
こちらもファーストアルバムに収録されている曲で、シングルカットもされました。
この頃はこういうサビで集団で吠えるタイプの曲が多かったですが、ノリノリでゴリゴリな曲と相まってめちゃめちゃかっこいいです。
元ネタは、「ラムゼイ・ルイス」「in the heat of the night」の0:37~です。
3 Who Stole The Pebble(1994)
セカンドアルバム「nervous breakdown」に収録されている曲。
数々の盛り上がるヒップホップの中でもトップクラスにテンションが上がる曲で、熱狂的に熱くなります。
鳥肌もので、ヘッドバンギンせずにはいられません。
かっこいい男気あふれるドラムは定番「リー・ドーシー」「get out of my life woman」です。
4 Sneakin’ Up On Ya(1994)
セカンドアルバムから超テンション上がるゴリゴリの曲をもう1曲。
「Who Stole The Pebble」に負けず劣らずめちゃめちゃ熱くなります。
テンションの上がるドラムは、こちらも大定番「スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン」の「sing a simple song」です。
5 What’s Up Doc ft.Shaquille O’neal(1993)
NBAのスーパースター、シャキール・オニールをフューチャーしたシングル曲。
こちらもごきげんでノリノリでとっても楽しい曲です。
ビルボード上位にも食い込んだヒット曲で、PVも面白く、チップ・フーの超絶早口ラップが神がかっています。
6 Ring The Alarm(1991)
レゲエの定番曲テナー・ソウの「ring the alarm」をサビの使った同タイトルのデビューシングル。
「テナー・ソウ」の「ring the alarm」はヒップホップ界でも定番曲でよくサンプリングされますが、この曲はその先駆け的な存在と言えるでしょう。
「ring the alarm」はレゲエ界で元々大定番だった「stalag」リディムの曲ではありましたが、その「stalag」リディムの中でもとりわけテナー・ソウのこの曲が有名で、その後多くのヒップホップにサンプリングされるなど、後々まで影響は及びます。
そんな隠れた影響力を及ぼしたレゲエ感あふれるファーストシングルです。
サンプリングは「テナー・ソウ」の他に、「ザ・バーキーズ」「in the hole」も使われています。
今回はレゲエ色の強いニュースクール系のグループ、フー・シュニッケンズを取り上げました。
聴いていてほんとに楽しいし、どれもノリノリでテンションが上がります。
体を動かさずにはいられなくなります。
さて、90年代初頭は、ヒップホップとレゲエが接近し、こういったレゲエ色の強いヒップホップアーティスト達が多数活躍しました。
その代表的グループとして、「プア・ライチャス・ティーチャーズ」がいます。
彼らもまた、レゲエ色の強いニュースクール系のグループで、フー・シュニッケンズと同時期にノリノリな名曲を多数残しました。
と言う訳で次回は、「プア・ライチャス・ティーチャーズ」を取り上げます。