マッド・ライオン 6選

ヒップホップ
ヒップホップレゲエ

〈連想第35回〉

前回取り上げたレゲエ色の強いグループ「プア・ライチャス・ティーチャーズ」から少し遅れてデビューした「マッド・ライオン」は、ラガヒップホップの流行の絶頂期に絶頂のポジションにいたヒップホップアーティストと言えるのではないでしょうか。

ロンドン生まれジャマイカ育ちのマッド・ライオンは、ニューヨーク・ブルックリンに移住し、KRSワンのレーベル「スピナーズ・チョイス」からの第1段アーティストとして活動しました。

レゲエ色の強いアーティストはたくさんいますが、ここまでラガヒップホップというスタンスを明確にした「ヒップホップにのせてラガスタイルでラップするアーティスト」は、マッド・ライオンの他にいなかったのではないでしょうか。

KRSワンとがっぷり四つで組んたそのサウンドは、骨太で男気あふれる心熱くなるものばかりです。

今回はそんなマッド・ライオンから6選します。

1 Shoot To Kill(1993)

ラガ系アーティスト取締役「KRSワン」のソロ名義ファーストアルバム「Return of The Boom Bup」に収録されている「Black Cop」のトラックをそのまま使った曲。

マッド・ライオンのファーストアルバム「real ting」に収録されていて、シングルリリースもされています。

レゲエの定番リディム「real rock」風のベースラインがレゲエ感満点です。

2 Take It Easy(1994)

同じくファーストアルバム収録曲で、マッド・ライオンの代表曲。

渋いトラックにマッド・ライオンのラガフロウが映えます。

プロデュースは当時のトッププロデューサーの一人「イー・ジー・モー・ビー」です。

サビの声ネタはジャマイカの少年(当時)シングジェイアーティスト「ヤミー・ボロ」の大定番リディム「スタラグ」オケの「when a man in love」の0:30です。

3 Double Trouble ft. KRS-One(1996)

こちらもファーストアルバムに収録されている曲で、シングルカットもされました。

「take it easy」ではPVに出演していたKRSワンでしたが、この曲ではガッチリラップもしています。

KRSワン自身もレゲエ色の強いアーティストでもあり、相性はバッチリです。

男らしさ全開のめちゃめちゃかっこいい曲です。

4 Real Ting(1994)

1stアルバムに収録されているタイトル曲で、シングルカットもされています。

レゲエの歌から始まり、レゲエ風のシンセベースに、ド骨太なドラムが重なる、KRSワンプロデュースの「レゲエ」を感じる1曲。

その場の空気が一気に夏になり、気温が上昇します。

5 Own Destiny KRS-One Mix(1994)

1stアルバムからシングルカットされたむさ苦しい曲をもう1曲。

KRSワンプロデュースの骨太ソング。

シンプルなトラックに、ヒップホップとレゲエの両方の良さが凝縮されている心が熱くなる男らしくかっこいい曲です。

元ネタは「バリー・ホワイト」「It’s Ecstasy When You Lay Down Next To Me」の冒頭です。

6 Carpenter(1997)

2ndアルバム「ghetto gold and platinum respect」に収録されているKRSワンプロデュースの超骨太ソング。

ヒップホップは、男気を感じる、心が熱くなる曲が多数存在しますが、その中でもこの曲はトップクラスに心が熱くなり高揚します。

骨太感が凄まじく、ヘッドバンギンせざるを得なくなります。

今回はラガヒップホップの代表格、マッド・ライオンを取り上げました。

マッド・ライオンが生まれたロンドンはジャマイカからの移民が多く、レゲエがとても盛んな場所でした。

そんなロンドンで生まれジャマイカで育ち、そして移住した先のNY・ブルックリンもまた、ジャマイカ移民が多くレゲエが盛んな場所でした。

ブルックリンの「イースト・フラットブッシュ」という地区は、ジャマイカ移民がとても多く、ブルックリンでは通称「ジャマイカ」と呼ばれています。

マッド・ライオンの活動にはそんな背景がありましたが、もう一つ直接的なきっかけとなったのが、当時本場ジャマイカからNYに活動拠点を移していたスーパーキャットの手引きでした。

スーパーキャットはその後アメリカから国外追放となってしまいますが、ジャマイカのスーパースターで、アメリカでの活動は短い期間だったにも関わらず強烈なインパクトを残しました。

この時期、本場ジャマイカのダンスホールアーティスト達は、ヒップホップのトラックに乗せた曲やヒップホップリミックスなどを多数リリースしていました。

次回は、そんな本場ジャマイカのダンスホールアーティスト達によるラガヒップホップを取り上げます。