ダンスホールレゲエ ⑥〈80s後期シンガー〉5選

レゲエ
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〈連想第43回〉

80年代のダンスホールレゲエは、レゲエの黄金期とも呼べるほどたくさんのレジェンド、名曲が百花繚乱でした。

その分、サウンド=流行の変化も目まぐるしく、80年代後期の主流は完全に打ち込み系のデジタル化されたサウンドが主流になっていました。

ブラックミュージックは総じて電子音が大好きで、どのジャンルでも電子音が積極的に取り入れられる傾向がありますが、レゲエにおいてもそれは顕著です。

今回は、そんなコンピューターライズ=デジタル化した時代のダンスホールレゲエシンガーを5選します。

1 Pinchers – Request To Denise(1987)

80年代後期から90年代前半にかけて外すことのできない大人気を博したシンガー「ピンチャーズ」です。

鼻にかかったような歌声と独特の節回しがとても個性的なシンガーで、ラバダブでも数多く活躍しました。

この曲は、この曲名が由来となった「denise」リディムで、浮遊感ある歌声ととてもマッチしています。

デジタルレゲエの先駆者「キング・ジャミー」のレーベル「ジャミーズ」からリリースされたアルバム「agony」に収録されています。

2 Anthony Malvo – Give Me Your Loving(1987)

続いてもジャミーズからの1曲。

今なお活躍するダンスホールシンガー「アンソニー・マルボ」。

明るく伸びやかな歌声とごきげんなオケの相性が最高に抜群で、とても楽しく自然に体が踊りだしテンションが上がります。

この時代のダンスホールを象徴するようなサウンドです。

3 Courtney Melody – Stop It(1988)

「アウト・オブ・キー」系のシンガーで、この時期にとても活躍した「コートニー・メロディー」。

拳の効いた歌い回しとスピリチュアルな声が、怪しさを醸し出していてなんともかっこいいです。

リディムは定番中の定番「real rock」ですが、これ以上ないほどシンプルかつチープなサウンドになっています。

この感覚、このセンスってブラックミュージック特有だな、と感じます。

コートニー・メロディーの怪しい歌声と究極のチープデジタルトラックの相性が抜群すぎてめちゃめちゃかっこよく中毒性があります。

4 Sanchez – I Love You(1988)

「サッカーがうまかったから」という理由で、時のブラジル代表のサッカー選手サンチェスから命名したという「サンチェス」。

甘い歌声とハンサムなマスクでアイドル的人気があったサンチェスですが、その甘く伸びやかな歌は、米英のR&B系のシングスタイルの先駆けかつ代表格と言えると思いますが、デジタルトラックとも相性はバッチリです。

「テクニクス」からリリースされたアルバム「loneliness」に収録されています。

5 Pat Anthony – Bigger Boss(1988)

80年代中後期にジャミーズなどから名曲を多数残した「パッド・アンソニー」。

ピンチャーズやアンソニー・マルボもそうですが、この時代の特徴として、「シングジェイ」とも言われる、deejay的なフロウをミックスしたシングスタイルが特徴です。

同名曲から来ている「bigger boss」リディムで、プロデュースはキング・ジャミーズ、時代を彩ったパッド・アンソニーのとてもテンションの上がる代表曲の1つです。

後半はダブバージョンです。

今回は、80年代後期のダンスホールレゲエシンガーから5選しました。

たくさんのレジェンドや名曲が百花繚乱だった80年代のレゲエでしたが、他にも触れないわけにはいかない、黄金時代を築いたジャンルがあります。

それは「ラヴァーズロック」です。

それはUKを中心に70年代から発展し、今なお受け継がれている、レゲエにおける超重要なサブジャンルの1つです。

ラヴァーズロックの明確な定義はありませんが、平たく言うと、甘くスムースで、ソウルやR&B系色の強い、歌もののレゲエ、です。

幸福感に満ち溢れた曲調のものが多く、聴いていてほんとにグッとくるものが多いです。

次回は、そんな80年代に隆盛を極めたラヴァーズロックから5選します。