〈連想第47回〉
前回は80年代から90年代のラバーズロックの名曲を連続して10曲取り上げました。
レゲエは「ダンス」と共に歩んできた音楽ですが、1960年前後の初期の頃は「ダンス」で「サウンド」がかける曲はアメリカンポップスが中心でした。(「ダンス」と「サウンド」については「ラガヒップホップ〈ハードコア編〉」で説明しています。)
レゲエの前身のロックステディの頃からアメリカンポップスのカバーなどが多かったのですが、歌ものであるラバーズロックはよりその傾向が強く、カバー曲が本当にとても多いです。
これはレゲエの伝統、文化と言ってもいいかもしれません。
「リディム」も同じような感覚だと思います。
大喜利のようにお題があって、そのお題に対して各アーティストが自分のスタイルを競い合う、みたいな感覚です。
そんなところもとても魅力的なレゲエですが、今回はラバーズロックの中からカバー曲を取り上げます。
オリジナル曲もあわせてリンクします。
1 Errol Dunkley – Betcha By Golly Wow(1982)
1960年代の初期レゲエ時代から活動している「エロール・ダンクリー」。
1980年代にはUKでも活躍しラバーズ・ロック系のヒット曲を多数生み出しました。
この曲は1982年にUKでシングルリリースされましたが、つい最近2020年にリリースされた「o.k. fred storybook revisited」というアルバムに収録されています。
オリジナルは「スタイリスティックス」の1971年のアルバム「the stylistics」に収録されている大ヒット曲です。
2 Sanchez – End Of The World(1989)
甘い声でアイドル的人気もあった「サンチェス」はカバー曲がとても多いシンガーです。
オリジナルは1962年リリースの「スキーター・デイヴィス」で、アルバム「skeeter devis sings the end of the world」に収録されています。
この曲(セカオワ)は、「スキーター・デイヴィス」以降、「カーペンターズ」がカバーしてより有名になったほか、レゲエにおいても、ダンスホールのド定番ソング「u.u.マドー&キャプテン・バーキー」による「mix up」のイントロで歌われるなど、様々な場所でとても知名度の高い1曲です。
このサンチェスによるカバーは、「キング・ジャミー」のプロデュースによりジャミーズからリリースされた「score」リディムで、「キング・ジャミー」のアルバム「selecter’s choice volume4」に収録されています。
3 Dennis Brown – Ribbon In The Sky(1993)
言わずと知れた「スティービー・ワンダー」の名曲のカバーです。
レゲエのみならず、数多くのアーティストがカバーしているカバー曲の定番ソング。
歌い手はレゲエ界の大御所「デニス・ブラウン」。
「シュガー・マイノット」と並んで、スタジオ・ワン、ダンスホール、ラバーズ・ロック、ダブと、レゲエの様々スタイルを歌い、長年レゲエ界を引っ張ったレジェンド中のレジェンドです。
大御所による大御所のカバーで貫禄たっぷりです。
アルバム「unforgettable」に収録されています。
オリジナルは「スティービー・ワンダー」の1982年のアルバム「orijinal musiquarium i」に収録されています。
4 Janet Kay – You Bring The Sun Out(1982)
これまでもすでに何度も登場しているラバーズ・ロックの女王「ジャネット・ケイ」が「ランディ・クロフォード」をカバーしています。
「ランディ・クロフォード」は、「ザ・クルセイダーズ」と共演した大ヒット曲「street life」が超有名です。
この曲のオリジナルは、「ランディ・クロフォード」の1981年のアルバム「secret combination」に収録されています。
ただ、この曲は、1979年に「ジェシー・ディクソン」が同名アルバムに同名曲を収録しており、サビのみですが共通しているので、こちらが本当のオリジナルと言えるかもしれません。
5 Winston Reedy – My Eyes Adore You
UKラバーズの大御所「ウィンストン・リーディ」。
「フランキー・ヴァリ」の1974年の大ヒット曲のカバーです。
この曲もたくさんのアーティストがカバーしています。
アルバム「illumination」に収録されています。
今回は、アメリカンポップスをカバーしたラバーズ・ロックを取り上げました。
さて、次回以降は、今回取り上げたカバー曲の他のアーティストによるバージョンを取り上げていこうと思います。
まずは、カバー曲の定番、「スティービー・ワンダー」の「ribbon the sky」を取り上げようと思います。