アーマッド・ジャマル〈The Awakening〉をサンプリングしたヒップホップ〈前編〉5選

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〈連想第7回〉

前回取り上げた「アーマッド・ジャマル」はとにかくヒップホップのサンプリングネタによく使われるピアニストです。

その中でも特に、アルバム「The Awakening」はネタの宝庫とも言える、サンプリングの定番アルバムとなっています。

今回は、そんな「アーマッド・ジャマル」の1970年のアルバム「The Awakening」から、このアルバムの曲をサンプリングしていることがよく知られている定番的な曲を5選します。

1 Nas – World Is Yours(1994)

ヒップホップのレジェンドアルバム「illmatic」に収録されているピート・ロックがプロデュースした定番ソングです。

「アイラブミュージック」の5:09あたりがサンプリングされています。

PVではナスの地元クイーンズブリッジのプロフェットやピアノを弾くピート・ロックが映し出されます。

そしてこの「ワールド・イズ・ヨーズ」という単語は、アル・パチーノとミシェル・ファイファー主演、ブライアン・デ・パルマ監督の映画「スカーフェイス」の一コマから取ったもので、PVではスカーフェイスのワンシーンを再現しています。

ちなみにこのスカーフェイスという映画もヒップホップで様々な形で使われまくっている映画です。

2 Jeru The Damaja – Me Or The Papes(1996)

「ギャングスターファウンデーション」の一員、ブルックリンの「ジェルー・ザ・ダマジャ」のセカンドアルバム「wrath of the math」に収録されている、「DJプレミア」のプロデュース曲。

1と同じく「アイラブミュージック」から、5:49あたりをチョップして組み立てたプレミアお得意の職人芸が炸裂しています。

3 Common – Resurrection(1994)

シカゴのラッパー、「コモン」がまだ「コモンセンス」と名乗っていた頃のセカンドアルバム「レザレクション」に収録されている、「ノー・アイディー」プロデュースのタイトル曲。

こちらは「ドルフィンダンス」の2:42あたりをサンプリングしています。

12インチバージョンよりも疾走感のあるアルバムバージョンの方をリンクします。

4 Deda – Can’t Wait(1995)

1995当時はお蔵入りして世に出なかったものの、後年2003年にリリースされて8年越しに日の目を見た隠れ名盤、ディーダのアルバム「the original baby pa」に収録されている曲。

このアルバム、プロデュースは全面ピート・ロック。

ピート・ロックは2度目の登場です。

サンプリングは3と同じ「ドルフィン・ダンス」の冒頭です。

5 Shadez Of Brooklyn – Change(1996)

プロデューサー集団である「ビートマイナーズ」の「DJイヴィル・ディー」と「Mrウォルト」の兄弟がプロデュースした、ブルックリンのグループその名も「シェイズ・オブ・ブルックリン」の1曲。

12インチオンリーのリリースながら、かなり人気の高い曲です。

アルバムタイトル曲「ジ・アウェイクニング」の0:56あたりをサンプリングしています。

とてもきれいなループで、インストバージョンでずっと聴いていられる曲です。

今回は数多くサンプリングされている「アーマッド・ジャマル」のアルバム「The Awakening」収録曲を使ったヒップホップの曲の中から定番的なものを5選しました。

ヒップホップという音楽は、サンプリングを通して知られざる曲やアーティストを教えてくれる本当に不思議で魅力的な音楽です。

サンプリングを通じた連想は無限にあるので、これからも少しずつ取り上げていきたいと思っています。

次回も引き続き「アーマッド・ジャマル」「The Awakening」をサンプリングしたヒップホップを取り上げます。