〈連想第52回〉
コール・ポーターは、ハリウッド黄金時代に多数の楽曲を作成した作曲家で、その多くがその後ジャズを中心としたスタンダードナンバーとなり、今なお受け継がれています。
映画やミュージカルを中心に、「フレッド・アステア」ほか、たくさんのレジェンド達のスタンダードナンバーがコール・ポーターにより提供されました。
2004年には、「五線譜のラブレター」という伝記的映画も公開されています。
今回は、そんな往年のハリウッド映画、ミュージカルを支えた作曲家、コール・ポーターのスタンダードナンバーを5選します。
1 Frank Sinatra – Night And Day(1943)
フレッド・アステアの歌編でも取り上げた、コール・ポーターの大スタンダードナンバーです。
うっとり歌い上げるのは、スタンダードナンバーシンガー代表「フランク・シナトラ」です。
アイドル的人気の大スターで、歌声は素晴らしく、特にこの動画の若き日のシナトラは、聴くものをうっとりさせるものを持っています。
「night and day」というアルバムなどに収録されています。
2 Helen Merrill – You’d Be So Nice To Come Home To(1954)
「ニューヨークのため息」と呼ばれるジャズシンガー「ヘレン・メリル」と言えばこの曲が最も有名でしょう。
この曲は、1943年の映画「Something to shout about」の挿入歌として、コール・ポーターが作曲したものです。
このアルバム収録の2年後に交通事故により亡くなるレジェンドトランペッター「クリフォート・ブラウン」と共演、若き日の「クインシー・ジョーンズ」が編曲、という伝説的な名盤「helen merrill with clifford brown」に収録されています。
3 Jane Birkin – Love For Sale(1975)
コール・ポーターの曲の中で最も有名なスタンダードナンバーではないでしょうか。
1930年のミュージカル「ザ・ニューヨーカー」の曲で、初出はマイナーで、発売当時はその歌詞の内容から物議を醸しヒットしなかったというこの曲が、コール・ポーターの代表曲とも言える曲となっています。
この「ジェーン・バーキン」による「ラブ・フォー・セール」は、アルバム「lorita go home」に収録されています。
イギリス人ながらフランスで女優、モデル、歌手として活躍した「フレンチ・ロリータ」の筆頭で、英語なのにフランス語っぽい雰囲気のある歌がとても魅力的です。
4 Miles Davis – All Of You(1956)
映画「ニノチカ」を、コール・ポーターがミュージカル化した「絹の靴下」からの1曲。
1957年にはフレッド・アステア主演で映画化もされています。
「マイルス・デイヴィス」による演奏が、クールで渋くてかっこいいです。
「ジョン・コルトレーン」「レッド・ガーランド」「ポール・チェンバース」「フィリー・ジョー・ジョーンズ」、そうそうたるレジェンド達による名盤「round about midnight」に収録されています。
5 Siena Wind Orchestra – So In Love(1966)
コール・ポーター作詞作曲のミュージカルで、1953年には映画化された「キス・ミー・ケイト」からの1曲。
このスタンダードナンバーは、「日曜洋画劇場」のエンディングテーマとして長年お茶の間で親しまれてきた曲です。
動画は、淀川長治さんが最後の解説をした回のエンディングです。
「毎週テレビで家族そろって映画を(吹替版で)見るのが楽しみ」、そんな時代が完全に終わったのでした。
演奏は、「シエナ・ウィンド・オーケストラ」による、「モートン・グールド」編曲バージョンです。
「image 10」や「the テーマ」などのオムニバスアルバムに収録されています。
今回は、多くのスタンダードナンバーを作曲したコール・ポーターの曲を取り上げました。
この他にも無数のスタンダード曲が今なお受け継がれています。
次回は、コール・ポーターと並び、ハリウッド黄金時代を支えた作曲家の1人、ジェローム・カーンを取り上げます。