〈連想第53回〉
コール・ポーターと同時代に、ハリウッド映画やミュージカルの作曲家として活躍したのがジェローム・カーンです。
1945年に60歳で亡くなるまでの間、700曲以上もの曲を作曲しました。
「毎日規則正しく作曲していた」という本人談も残っているように、とても真面目に音楽と向き合うタイプだったようです。
今回は、そんなジェローム・カーンのスタンダードナンバーを、初出のオリジナル音源で5選します。
1 Pick Yourelf Up(1936)
フレッド・アステア〈ダンス編〉で取り上げた、映画「有頂天時代」のダンスシーンの直前の歌のシーンで、この映画のために作曲された曲です。
この歌の後に素晴らしいダンスシーンに繋がっていきます。
コミカルな雰囲気がとても楽しいです。
2 The Way You Look Tonight(1936)
同じく映画「有頂天時代」のために書き下ろされた曲で、これもスタンダードナンバーです。
3 A Fine Romance(1936)
続いても「有頂天時代」からの1曲。
こうやってあらためて取り上げてみると、やはりこの映画とんでもなくスタンダードの宝庫だったんだなと思わされます。
4 The Last Time I Saw Paris(1941)
バド・パウエルの回でも取り上げたスタンダードナンバーです。
映画「lady be good」からの一幕で、「アン・サザーン」が歌ったこの曲はこの年のアカデミー賞の歌曲賞を受賞しています。
後年、エリザベス・テイラー主演による曲名と同じ映画も公開されました。
5 All The Things You Are(1939)
おそらくジェローム・カーンの最も有名な曲、代表曲ではないでしょうか。
ミュージカル「very worm for may」からの1曲ですが、ミュージカルのため、初出の映像は残っていません。
この「トミー・ドーシー」のオーケストラによる「ジャック・レオナルド」が歌ったこのバージョンがオリジナルになります。
初出がマイナーな割に、「この曲を演奏しなかったジャズミュージシャンはいなかった」と言っても過言ではないほど、大部分のジャズミュージシャンが演奏した大スタンダードナンバーです。
今回は、ハリウッド映画、ブロードウェイミュージカルの黄金期に活躍した作曲家の一人、ジェローム・カーンのオリジナル音源を取り上げました。
そしてこの時期、「コール・ポーター」や「ジェローム・カーン」と並んで、スタンダード曲を大量生産した、触れないわけにはいかない重要人物がいます。
それは、兄アイラと弟ジョージの「ガーシュイン兄弟」です。
次回はガーシュイン兄弟によるスタンダードナンバーを5選します。