〈連想第12回〉
前回取り上げた「ミゼル・ブラザーズ」が立ち上げた「スカイ・ハイ・プロダクション」のサウンドは、「AOR」「(今で言う)シティポップ」などへと形を変えて引き継がれていき、1990年代にはその流れの延長線上にある「アシッドジャズ」などの流れをくむサウンドを取り入れた曲が世界的にトレンドとなりました。
「スカイ・ハイ・プロダクション」のバンドメンバーには、「デイヴィッド・T・ウォーカー」「ワー・ワー・ワトソン」「チャック・レイニー」ら名だたるレジェンド達がいましたが、実は彼らは90年代のJPOPに色々なかたちで関わっていました。
ドリカムや安室奈美恵、古内東子などの他たくさんのjpopアーティストのバンドメンバーを努めましたが、その中でも「スマッピーズ」という、スマップのために結成されたバンドメンバーがとにかく超豪華超一流アーティストで、凄すぎるの一言につきます。
そのメンバーは、前述の「デイヴィッド・T・ウォーカー」「チャック・レイニー」らのほか、「ブレッカー・ブラザーズ」「グローバー・ワシントン・ジュニア」「オマー・ハキム」「マンハッタン・トランスファー」そしてビル・エヴァンス・トリオのベースを長年努めた「エディ・ゴメス」ほか多数です。
これらのメンバーのほかにも「ワー・ワー・ワトソン」や「ナラダ・マイケル・ウォールデン」など完全にフュージョン・AOR界の大御所が勢揃いした感があり圧巻です。
当然ながらサウンドのクオリティが極めて高く、遠い憧れの往年のミュージシャンたちがとても身近な存在に感じられます。
メンバーが参加しているアルバムとしは「006」〜「012」あたりです。
006と007をリンクします。
〈006〉
〈007〉
今回はそんな時期のSMAPの曲から、上述のメンバーが参加しているわけではない曲も含めて5選します。
1 がんばりましょう(1994)
ナイトフライトの「you are」を使っていることで有名(?)な大ヒットソング。
すでに人気者だったSMAPが、これから大きく飛躍し超大物になっていくテンションや予感を感じる曲です。
「庄野賢一」作曲・編曲によるバリバリのニュージャックスウィングで、ダンサブルな胸キュンソングです。
リンクはテレビのライブバージョンです。
「ナイトフライト」もリンクします。0:52~が使用箇所です。
2 胸騒ぎを頼むよ(1996)
ジャニーズ系の曲を多数編曲している「チョッカク」による爽やかで切ない作曲。
アシッドジャズやフリーソウル色の強い、当時のトレンドなサウンドで、ドライブとかによく合う曲です。
「チョッカク」による曲は「僕の自転車の後ろに乗りなよ」という名曲もあります。
当時のキムタクのスーパースターぶりが際立つCMのテーマ曲に使われていました。
3 たいせつ(1998)
シェイク、ダイナマイト、らいおんハートなどの名曲を作曲した「小森田実」作曲による爽やかな曲。
切なさもあるアシッドジャズ色の濃いめな、グッとくるすごくいい曲です。
4 君と僕との6ヶ月(1994)
がんばりましょうのカップリング曲で、たくさんのジャニーズの曲のほか、歌謡曲、jpop、はたまたアンパマンのエンディングテーマなど膨大な数の作曲を手がけている「馬飼野康二」作曲による胸キュンソングです。
こういう甘酸っぱい感じの曲ってジャニーズらしいというか、青春を感じる曲です。
5 SHAKE(1996)
「小森田実」作曲によるダンサブルなナンバー。
「世界に一つだけの花」「夜空ノムコウ」「らいおんハート」に次ぐ歴代4位の売上です。
何度聴いても色褪せないノリノリでキャッチーなテンションが上がる胸キュンソングです。
今回はジャズ、フュージョン界の大物ミュージシャンがこぞって参加した90年代のSMAPを取り上げました。
SMAPはやはりジャニーズやアイドルの粋を超えた不世出のスーパースターだったんだなとあらためて感じます。
総じて曲やサウンドのクオリティが高く名曲ぞろいで、個人的な思い出が蘇るだけでなく、色々な騒動があり悲しい幕切れだったことも相まって、聴いていて涙が出そうになります。
そのほかにも90年代のJPOPは、内容的にも売上的にも最盛期で、大物アーティストや名曲が溢れました。
次回は、そんなjpop黄金時代の一翼を担った存在として、初期SMAPとは音楽的にAORやフュージョンの流れを組んだダンスミュージックという共通点があり、同時期にダンスグループとして活躍したZOOを取り上げようと思います。