定番ブレイクビーツ②〈Blind Alley〉12選

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ヒップホップブレイクビーツ

〈連想第116回〉

定番ブレイクビーツを連続して取り上げています。

今回は「ジ・エモーションズ」の「blind alley」を取り上げます。

「ジ・エモーションズ」は、大ヒットチューン「ベスト・オブ・マイ・ラブ」でお馴染みのソウルグループで、この曲「ブラインド・アレイ」は、1972年リリースのアルバム「untouched」に収録されています。

曲の冒頭のドラムが定番ブレイクビーツとなっています。

乾いたスネアにタンバリンの音が若干重なっているのが特徴的なこのドラムは、使い勝手の良さからブレイクビーツとしてそのままループされたり、小刻みにして打ち込み直されたりと幅広く使われ、その数は数え切れない程です。

今回はそんな大定番ドラム「blind alley」を使用した曲を12選します。

1 Big Daddy Kane – Ain’t No half Steppin’(1988)

この定番ドラムの元祖的存在が、スター揃いのレジェンド集団「ジュースクルー」の「ビッグ・ダディ・ケイン」のクラシックであるこの曲です。

プロデュースはもちろん「マーリー・マール」で、ドラムだけでなくメロディー部分も一緒にループしたこのネタ使いがその後の定番になりました。

フック部分などに定番SEネタの「UFO」が使われているなど、その後の定番が詰まった名曲です。

2 Mariah Carey – Dreamlover(1993)

マライア・キャリーが最高に輝きを放った3rdアルバム「music box」に収録されている先行シングル曲です。

マライアはどの曲も特大ヒットばかりですがこの曲も例にもれず大ヒットしました。

爽やかな印象の曲とMVにこのドラム使いがハマっています。

3 Das Efx – Klap Ya Handz(1992)

マライアの明るい地上から暗い地下へ降りてきた感の落差がありますが、こちらも大ヒットした「ダス・エフェックス」の1stアルバムに収録されている曲。

↑の2曲のネタの少しあとの箇所をループしています。

4 Lords Of The Underground – Psycho(1993)

「ジュース・クルー」のプロデューサー「マーリー・マール」とその門下生「ケー・デフ」がプロデュースした名盤1stアルバムからのシングル曲「サイコ」です。

うねるベースがかっこいい疾走感溢れる曲で、ハーコーながらノリノリな名曲。

スネアは「blind alley」以外のものが重なっているので、若干わかりづらいかもしれません。

5 Redman – Time 4 Som Aksion Remix(1993)

「デフ・スクワッド」の「エリック・サーモン」全面プロデュースによる名盤1stアルバ厶に収録されているシングル曲で、いまだ現役で活躍している「レッドマン」の代表曲の一つである「タンフォサマクシン」のリミックスです。

オリジナルと同じくダークでゴリゴリなこの当時の「エリック・サーモン」の典型的なプロダクションの一つで、テンションが激上がりの1曲です。

6 The Pharcyde – 4 Better Or 4 Worth(1992)

カリフォルニアで活動していたニュースクール系のグループ「ザ・ファーサイド」の名盤1stアルバムに収録されているシングル曲です。

浮遊感ある上ネタとベースラインがめちゃめちゃかっこいいこの名曲に「blind alley」がガッチリハマっています。

7 Pete Rock & C.L.Smooth – Lots Of Lovin Remix(1992)

レジェンドプロデューサーの一人、ソウルフルな作風が持ち味の「ピート・ロック」が、「ピート・ロック&シーエル・スムース」としてリリースした名盤1stアルバムに収録されているヒット曲のリミックスです。

オリジナルもソウルフルでスムージーな名曲ですが、このリミックスバージョンも温かみのあるほっこりしたソウルフル路線で感動的です。

8 Rakim – When I Be On Tha Mic(1999)

続いてはレジェンド中のレジェンドラッパー「ラキム」の、同じくレジェンド中のレジェンドプロデューサー「DJプレミア」によるヒットシングル曲です。

元々「エリック・ビー&ラキム」として活動していたラキムがソロ名義でリリースした2ndアルバムに収録されています。

プレミアのトラックもキャッチーで勢いのある路線で、ドラムは小刻みにして打ち込んでいます。

9 Sadat X – The Lump Lump (Nubian Mix) Ft. Grand Puba,Lord Jamal(1999)

「ブランド・ヌビアン」の「サダト・エックス」がソロ名義でリリースした1stアルバムに収録されているシングル曲のリミックスです。

「ブランド・ヌビアン」の「グランド・プーバ」「ロード・ジャマル」の二人をフューチャーしていて、サビに「グルーヴ・セオリー」の大ヒット曲「tell me」を声ネタに使っているのが印象的です。

プロデュースは「D.I.T.C.」の「バックワイルド」で、ドラムは小刻みにして打ち込み直し、バスドラには別のドラムを足しています。

10 A Tribe Called Quest – Phony Rappa(1996)

プロデューサー集団「ジ・ウマー」≒「ジェイ・ディラ」がプロデュースした「ATCQ」の4thアルバムに収録されている曲。

「ブラインド・アレイ」の冒頭の2小節後の上ネタ部分(ビッグ・ダディ・ケインなどがドラムだけでなくネタの部分まで使っているところ)の冒頭をチョップして打ち込み直すというジェイ・ディラらしい細部までこだわる職人芸が感じられます。

11 Pete Rock Ft. C.L. Smooth – Da Two(1998)

再びピート・ロックです。

ソロ名義でリリースした1stアルバムに元コンビだった「C.L.スムース」をフューチャーした完全に「ピート・ロック&C.L.スムース」な曲。

この頃以降のピート・ロックを象徴するジャジーでスムージーなローファイの先駆け的なこの曲にもこのドラムは映えます。

12 Gang Starr – Comin’ For Datazz(1994)

再びDJプレミアです。

今度は自身のグループ「ギャング・スター」の名盤4thアルバムに収録されている曲で、超シンプルでド渋ながらノリノリで自然に体が動く名曲です。

↑のジェイ・ディラ、ピート・ロックとドラムの使用箇所が全く同じです。

今回は定番ドラムの中でも息長く幅広く使われているド定番ドラム「ブラインド・アレイ」を取り上げました。

今回取り上げたもののほかにも、このドラムを使った有名な曲、著名な曲が無数にあります。

シンプルながら耳をひく音色がどんな曲にも相性が良い名ブレイクビーツです。

さて次回は、こちらも大定番ブレイクビーツ「synthetic subsutitution」を取り上げます。