アーマッド・ジャマル〈The Awakening〉をサンプリングしたヒップホップ〈後編〉5選

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〈連想第8回〉

前回は「アーマッド・ジャマル」のサンプリングの定番アルバム「The Awakening」収録曲をサンプリングしたヒップホップの中から、定番的な曲を取り上げました。

「ジ・アウェイクニング」からだけでもこれだけの曲がサンプリングされていますが、これ以外のアルバムからのものも含めるとかなり膨大になりますので、引き続き「ジ・アウェイクニング」収録曲をサンプリングした曲から5選します。

1 Nas – One On One(1994)

定番編に続き再びナスです。

映画「ストリートファイター」をご存知ですか?

これは1994年にゲーム「ストⅡ」を実写映画化したもので、主演が「ジャン・クロード・ヴァン・ダム」、そして主題歌がなんとチャゲアスです。

チャゲアスの全盛期の頃で、普通にオリコン上位にも入っていたので知っている方も多いかもしれませんが、「サムシング・ゼア」という曲です。

そのサントラに収録されているのが、この曲「chris large and mr.freaknasty」なる無名のプロデューサーによる1曲。

このプロデューサー、ラージ・プロフェッサーとナスなんじゃないかという説もあるみたいですが、実際このトラックはラージ・プロフェッサーっぽいです。

NYのコンクリートジャングルが想起される青々しくてかっこいい曲です。

サンプリングはアルバムタイトル曲「ジ・アウェイクニング」の1:04あたり、前回取り上げたシェイズ・オブ・ブルックリン「チェンジ」のネタの直後の部分です。

2 Pete Rock & CL Smooth – It’s On You(1994)

「ピート・ロック・アンド・シーエル・スムース」の名盤2ndアルバム「the main ingredient」に収録されている曲。

名曲だらけのこのアルバムは全曲ピート・ロックプロデュース。

ピート・ロックはアーマッド・ジャマルシリーズ3度目の登場です。

サンプリングは、1と同じ曲のほぼ同じ部分ですが、密かに若干チョップしていて、作り込まれています。

3 All Natural Ft Lone Catalysts – Renaissance(2002)

シカゴのユニット「オール・ナチュラル」とシンシナティのユニット「ローン・カタリスツ」の共作で、プロデュースは「ローン・カタリスツ」の片割れ「ジェイ・ロウルズ」。

ジャジー系、メロウ系を特徴とする「ジェイ・ロウルズ」の中でも格別きれいな曲。

サンプリングは「ユーアー・マイ・エブリシング」の0:12あたりと、1:38あたりです。

4 O.C. – Time’s Up(Remix)(1994)

「d.i.t.c.」の一員「o.c.」の代表曲でヒップホップクラシックである「タイムズ・アップ」の「DJエクリプス」によるリミックスバージョンです。

サンプリングは前回取り上げた「ディーダ」の「キャント・ウェイト」と全く同じ、「ドルフィン・ダンス」の冒頭です。

5 Kero One – In All Wrong Places(2006)

最後は、サンフランシスコの韓国系アメリカ人ラッパー兼DJ兼プロデューサーのケロ・ワン。

取り上げた中で最もネタ感が強いトラックです。

サンプリングはこちらも「ドルフィン・ダンス」の0:40あたりです。

今回と前回は、全てアーマッド・ジャマルのアルバム「ジ・アウェイクニング」に収録されている曲をサンプリングしたヒップホップを取り上げました。

原曲、サンプリングした曲、共に素晴らしいです。

ところで「アーマッド・ジャマル」は、元々「フリッツ・ラッセル・ジョーンズ」という名前でしたが、イスラム教に改宗して名前も「アーマッド・ジャマル」に変わりました。

アメリカの黒人層にはイスラム教(ネイション・オブ・イスラム)に改宗する人が多数いるようですが、何度も登場したピート・ロックも、ファーストアルバムのタイトルが「mecca and soul brothers」となっていたり、「anger in the nation」というネイション・オブ・イスラムに関する曲があったり、セカンドアルバムの内ジャケにお祈りをしている様子が収められていたりと、イスラム色が伺えます。

次回はそんなピート・ロックの作品から、今回取り上げた「it’s on you」が収められている名盤セカンドアルバム「the main ingredient」から5選したいと思います。