〈連想第132回〉
レゲエの定番リディムを連続して取り上げています。
今回もレジェンドレーベル「スタワン(スタジオ・ワン)」がオリジナルの曲で、コーラスグループ「ザ・シルバートーンズ」が1977年にシングルリリースした「スマイル」を取り上げます。
優しく、楽しく、ごきげんで幸福感に満ち溢れた曲で、聴いていて「レゲエってやっぱり最高!!」と心の中で叫びたくなります。
「Dance,Dance,Dance This reggae Music♪」と連呼されるサビのフレーズが喜びに満ち溢れていてたまらなくぐっときます。
プロデュースはもちろん「スタワン」=「コクソン・ドット」です。
後半はダブバージョンです。
- 1 Willie Williams – Change Your Evil Ways(1980)
- 2 Dillinger – Three Mile Rock(1977)
- 3 Barrington Levy – Trod With Jah(1979)
- 4 Welton Irie – The Almighty(1982)
- 5 Sugar Minott & Lady G – Whole Herp A Man(1988)
- 6 flourgon – Gone With Trophy(1988)
- 7 Little Twitch – Talking Twitch(1993)
- 8 Little Devon – Fliction(1993)
- 9 General Degree – Envy(1993)
- 10 Garnet Silk – Hallo Mama Africa(1993)
- 11 Fleshy Ranks & Courtoney Melody – Rude Boy Business(1993)
- 12 Bionic Steve – Fly De Gate(1993)
1 Willie Williams – Change Your Evil Ways(1980)
レゲエ創成期の立役者の一人「ウィリー・ウィリアムス」です。
一時期カナダに拠点を移していましたが、1980年にスタワンにカムバックしました。
ほっこり牧歌的な雰囲気漂うなごやかなスマイルです。
オケはオリジナルをほぼそのまま使用しています。
2 Dillinger – Three Mile Rock(1977)
俗に言う「ディージェー第2世代」の筆頭「デリンジャー」です。
小型小銃デリンジャーから名付けた「デリンジャー」はバッドマンスタイルの先駆的存在で、その後のダンスホールシーンに大きな影響を与えました。
1977年リリースの名アルバム「トップ・ランキング」に収録されている曲で、プロデュースはレジェンド「バニー・リー」です。
ホーンセクションが異なりベースラインも若干違う変則スマイルとなっています。
和やかなリディムに合わせて男臭いトースティングがかっこいいです。
3 Barrington Levy – Trod With Jah(1979)
通称カナリアボイスの「バーリントン・リーヴィ」です。
神々しい歌唱で名曲を量産していた時期の一曲で、例にもれずとても和やかでピースフルでありながらかっこいいグッとくる曲です。
↑2と同じようにベースラインが若干違う変則スマイルとなっています。
1979年リリースの名アルバム「バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)」に収録されています。
4 Welton Irie – The Almighty(1982)
マイナーな存在ながら、デリンジャーらと共にディージェー第2世代を牽引した名ディージェー「ウェルトン・アイリー」です。
宇宙との呼応が感じられるトースティングがめちゃめちゃカッコよく、2:14~の「セラシアイ、ルァスタファライ」のフレーズが印象的で耳に残ります。
「チャンネル・ワン」レベールの「ジョセフ・フー・キム」プロデュースによる名曲揃いの隠れ名アルバム「リプロベイト」に収録されています。
5 Sugar Minott & Lady G – Whole Herp A Man(1988)
レジェンドシンガー「シュガー・マイノット」とフィーメールディージェー「レディ・ジー」のデュエット曲です。
穏やかで優しいシュガー・マイノットの歌声と勢いがあってカッコいいレディー・ジーのトースティングの対比がとても良いです。
プロデュースは時の人「スティクリ」こと「スティーブ&クリーヴィ」で、自身のレーベルからのシングルリリースです。
6 flourgon – Gone With Trophy(1988)
80年代後半に隆盛したタフで男剥き出しなディージェースタイルの代表格の一角「フロワーゴン」です。
リズミカルでメロディアスなトースティングがカッコいい、時代を象徴するような一曲です。
プロデュースとレーベルは↑4と同じです。
7 Little Twitch – Talking Twitch(1993)
ここからは同年同オケでリリースされた数曲を連続して取り上げます。
というのも、このオケめちゃめちゃハイクオリティでクラシックと呼べるほど定番かつどのアーティストもハマっていてそれぞれにかっこいいという稀に見るシリーズだからです。
1993年に「スター・トレイル」レーベルからリリースされたこのオケは、プロデュースがレーベルのオーナー「リチャード・ベル」です。
知名度の低いアーティストが多いですがどれもとてもかっこよく、ごきげんでテンションが上がるものばかりです。
この曲「リトル・トゥウィッチ」もそんな一人です。
8 Little Devon – Fliction(1993)
続いての「リトル・デヴォン」も同じく知名度は低いですが、メロディアスで勢いのあるシングジェイスタイルがめちゃめちゃかっこよくテンションが上がります。
このようなハイクオリティな知名度の低い無数のアーティストの存在が、そのジャンルの奥深さやクオリティを築き上げている重要な役割を果たしているのだといつも感じます。
9 General Degree – Envy(1993)
プロデューサーも兼ねて活躍する「ジェネラル・デグリー」です。
1990年代から2000年代にかけてアルバムもたくさんリリースするなど活躍しました。
キレキレで歯切れよいトースティングがめちゃめちゃかっこよく中毒性あります。
10 Garnet Silk – Hallo Mama Africa(1993)
このリディムの真打ち「ガーネット・シルク」です。
輝かしいキャリアの絶頂で若くして銃弾に斃れたガーネット・シルクにとっても、プロデュースのリチャード・ベルにとっても代表曲的存在で、アフリカへの思いを高らかに歌ったアフリカ賛歌「ハロー・ママ・アフリカ」です。
ガーネット・シルクの真髄が凝縮された名曲です。
11 Fleshy Ranks & Courtoney Melody – Rude Boy Business(1993)
ガーネット・シルクと並んで、このオケの代表曲的存在、プリミティブな歌声が特徴的な「コートニー・メロディー」の「ルード・ボーイ・ビジネス」のサビに「フレッシー・ランクス」をフューチャーしたレアな一曲です。
宇宙との呼応を感じるコートニー・メロディーの歌声とガナリ声のタフスタイルなフレッシー・ランクスの対比が面白いです。
12 Bionic Steve – Fly De Gate(1993)
最後は「バイオニック・スティーブ」なる詳細不明のアーティストです。
このオケ実はサブタイトルとして「Fly De Gate Riddim」と呼ばれており、そのサブタイトルの元となった曲がこの曲です。
ディージェースタイル、ラップっぽいスタイル、シングスタイル、他にも誰かのモノマネなのかなと思わせるような多様なスタイルを披露している珍しいタイプです。
サビのフレーズが勢いがありかっこよくテンション上がります。
今回はスタワンがオリジナルのファウンデーションリディム「スマイル」を取り上げました。
とても楽しく幸福感に満ち溢れたテンションの上がるリディムだと思います。
次回は連続していたスタワンものから一旦外れて、何度も何度もリバイバルされその都度ヒットソングを出し続けているド定番リディム「タクシー」リディムを取り上げます。