定番リディム⑨〈Taxi〉12選

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〈連想第133回〉

レゲエの定番リディムを連続して取り上げています。

今回はファウンデーションリディムの中でも何度も何度もリバイバルされ、その都度大ヒットしてきた特大定番リディム「タクシー」を取り上げます。

ほのぼのとした雰囲気の中に黒黒とした間のあるベースラインがめちゃめちゃかっこいいリディムです。

オリジナルは1975年に「タファリ」レーベルからリリースされた「リトル・ロイ」のシングル「プロフェシー」です。

ダンスホールの現場では頻繁にプレイされ、1970年代から2000年以降にかけて各世代で途切れることなくヒット曲が生まれてきました。

今回はそんな特大定番リディム「タクシー」リディムを12選します。

1 Sister Nancy – One Two(1982)

フィーメールディージェーの草分け的存在の「シスター・ナンシー」の1982年の名アルバム「ワン・ツー」に収録されているタイトル曲です。

シングルリリースもされたヒット曲で、「バン・バン」と並んでシスター・ナンシーの代表曲的存在の一つになっています。

レーベルは「テクニクス」、プロデュースはレーベルのオーナー「ウィンストン・ライリー」です。

2 Yellowman & Sister Nancy – Bloodstrain(1984)

レジェンド二人の共演、↑1の「シスター・ナンシー」をサビと合いの手に迎えたキング「イエローマン」のキャリア絶頂期のシングル曲です。

勢いがありノリノリのイエローマンとシスター・ナンシーが共にテンション高くゴキゲンで楽しいです。

レーベル不明で7インチリリースされ、CBSレコードからは正規で12インチリリースされています。

3 Carlton Livingston – Blood A Go Run(1984)

80年代前半を中心に活躍した力の入らない緩やかなシングスタイルが魅力の「カールトン・リビングストン」です。

プロデュースは「ベズウィック ‘ビーボ’ フィリップス & クライブ ジャレット」で、名アルバム「ルーモーズ」に収録されています。

淡々としながらも力強いオケにカールトン・リビングストンの優しくゆるい空気感の対比が何ともくせになるかっこよさです。

4 Papa San – Taxi Man(1986)

早口トースティングで有名なパパ・サンのシングル曲です。

ただし毎回早口なわけではなく、この曲ではゆったり怪しい語り口でくせになるかっこよさがあります。

「デニス・スター」レーベルからのリリースで、プロデュースはレーベルオーナーの「デニス・ヘイルズ」です。

5 Simple Simon – Mother And Wife(1985)

80年代初頭に大ブレイクしたシングジェイの草分け「イーク・ア・マウス」の「バンバンビリ ボンボンビリ〜♪」のスタイルを軽快にしたようなスタイルがめちゃめちゃかっこいい「シンプル・サイモン」です。

リズミカルでコミカルなトースティングがノリノリで体が自然に動き出します。

アルバム「レゲエ・ムーブ」に収録されていて、プロデュースはレジェンド「バニー・リー」です。

6 Horace Andy – Prophecy(1982)

スタワン、ルーツ、ダブ、ダンスホール、ラバーズロックなどで名作を多数遺すレゲエの生き字引的存在、スリーピー「ホレス・アンディ」です。

節終わりの拳が何とも特徴的で、その高音の美声と相まって唯一無二の個性的なレジェンドシンガーです。

この曲は、「シュガー・マイノット」らも名作を遺したニューヨークのアンダーグラウンドダブレーベル「ワッキーズ」からリリースされたシングル曲で、プロデュースはレーベルオーナーの「ブルワッキー」こと「ロイド・バーンズ」です。

ダビーでチープなデジタルサウンドとホレス・アンディーの歌声の組み合わせが最高です。

7 Sugar Minott – Nice It Up(1984)

↑6の「ホレス・アンディ」らと共にレゲエの歴史を作ってきたレジェンド「シュガー・マイノット」です。

自らのレーベル「ブラック・ルーツ」に収録されている曲で、プロデュースはレジェンド「スラロビ」こと「スライ・アンド・ロビー」です。

NY・ロンドン・キングストンを股にかけて大活躍し、リリースする曲ほぼ名曲というキャリア絶調期の曲の一つです。

8 Cocoa Tea – Bam Bam(1984)

甘くハスキーで優しく憂いを帯びた歌声が素晴らしすぎるレジェンドシンガー「ココ・ティー」です。

「シスター・ナンシー」の「バン・バン」を元にした曲ながら、渋くかっこいいシングジェイスタイルと哀愁漂う歌声によるシングスタイルが織りなす味わい深い極上の一曲です。

プロデュースはレゲエの歴史の一時代を築いたレジェンド・オブ・レジェンド「プリンス・ジャミー」です。

後半のダブもメチャメチャかっこいいです。

9 Bunny Wailer – Sound Clash

「ボブ・マーリー」と「ピーター・トッシュ」と共に「ボブ・マリー・アンド・ザ・ウェイラーズ」として活動した大御所「バニー・ウェイラー」です。

オーバーグラウンド感満点なサウンドで明るいタクシーです。

1995年にリリースされたアルバム「ライズ・アップ」に収録されているライブ版が有名ですが、リンクはそれ以前にリリースされたスタジオ録音版です。

10 Johnney Osbourne – Reason(1989)

タクシーリディムの代表的定番曲、大御所「ジョニー・オズボーン」の「リーズン」です。

「アース・ウィンド・アンド・ファイア」の定番曲「リーズン」をカバーした曲で、ジョニー・オズボーン自身もこの後何度もセルフカバーしています。

このオケは、時の人「スティーリー・アンド・クリービー」通称「スティクリ」によるもので、「フレディ・マクレガー」による原曲カバー「プロフェシー」の大ヒットでも有名です。

80年代後半という時代を象徴するダンスホールサウンドです。

11 Apache Scratchie – Fancy Girl(1989)

80年代後半を中心に活躍したディージェー「アパッチ・スクラッチー」です。

90年前後にクラシックを量産した当時の時のレーベル「ペントハウス」からリリースされたオケは、レーベルオーナーのレジェンド「ドノバン・ジャーメイン」のプロデュースです。

「アパッチ」という名前や顔から見るに、「スーパー・キャット」「ジュニア・キャット」「リッキー・タフィ」らと並びインド系であることが伺えます。

怪しく勢いのあるトースティングがかっこいい、時代を象徴するようなゴキゲンでノリノリなタクシーです。

12 Mr.G – Police And Bad Bwoy(2007)

再び「スラロビ」プロデュースによるタクシーです。

「ブジュ・バンタン」の「ドライバー」の大ヒットでも有名なこのオケは、「ビーニ・マン」「エレファント・マン」「ミスター・ベガス」ほか当時を代表するアーティスト達が続々ヒットを飛ばした大ヒットオケです。

その中にあってこの「ミスター・ジー」も、がなりトースティングで気を吐き存在感を出しています。

今回は各世代でヒットソングを生み出し続けたファウンデーションリディム「タクシー」を取り上げました。

さて次回は、誰もがどこかで聴いたことがあるであろう、一般的にレゲエを聴かない人の往年のダンスホールレゲエのイメージではないかと思われるド定番リディム「アンサー」を取り上げます。