〈連想第41回〉
80年代はダンスホールレゲエが百花繚乱のごとく咲き誇った時代でしたが、その役割を担ったのはdeejayだけではなく、シンガーが担った部分もとても大きいものでした。
今回は、いずれも70年代から活躍してきたレジェンドシンガーたちが名曲を量産した80年代前半の曲を5選します。
1 Gregory Isaac – Cool Down The Pace(1982)
70年代から大御所として活躍してきたレジェンドシンガー「グレゴリー・アイザック」です。
映画「ロッカーズ」にも本人役として出演していました。
とてもピースフルで穏やかな曲で、まったりします。
アルバム「night nurse」に収録されている代表曲の1つです。
2 Barrington Levy – True Love (1983)
「メロウ・カナリア」と呼ばれる独特の歌声の「バーリントン・リーヴィ」です。
80年代初頭に名曲を量産し、ヒット曲も多数生まれました。
80年前後を象徴するような伸びやかでソウルフルな歌声は心にグッときます。
「トロージャン」からリリースされた「リンバル・トンプソン」プロデュースのアルバム「poor man style」に収録されている1曲です。
3 Linval Thompson – Love Me Forever(1983)
バーリントン・リーヴィをプロデュースしたリンバル・トンプソンは、プロデューサー、サウンド経営の他自身もシンガーとして活躍した重要人物でした。
ダブの録音などにも多数関わり、幅広い活動をしていました。
この曲は、「グリーンスリーブス」からリリースされたアルバム「baby father」に収録されている1曲です。
4 Barry Brown – Them A Fight(1982)
定番「far east」リディムを同名曲で定番化させたことでも有名なシンガーですが、80年代前半にも多くの名曲を残しています。
心がほっこり暖かくなるような歌声とそのスタイルは、ダブとも相性がよく、また、ダンスホール系の曲とも相性は抜群でした。
この曲は「boxing」リディムで、「ジョー・ギブス」からリリースされています。
5 Sugar Minott – Jammin’ In The Street(1983)
最後に、ダンスホールシンガーと言えばこの方に触れないわけにはいきません。
レゲエの生き字引的存在でダンスホールシンガーのパイオニア、「シュガー・マイノット」です。
レゲエの歴史を創り続けた本当の意味でレジェンド・オブ・レジェンドと言える存在です。
アーティストや曲の順位や優劣をつけるのはナンセンスだと思っていますが、もし仮に「レゲエアーティストで誰か一人だけ選べ」と言われたら、この「シュガー・マイノット」を選びます。
声、歌い方、メロディー、ハーモニー、サウンド、リディム使いのパイオニア、ジャマイカンラバーズロックの第一人者、ルーツ・ダブの大御所…レゲエの全てを体現しているかのような素晴らしすぎるアーティストです。
この曲は、自身のレーベル「ブラック・ルーツ」からリリースされた、オルガンがドリーミーなとても「ダブ」な曲です。
後半には「ジョン・ウェイン」バージョンとダブバージョンが連続して収録されています。
どれも最高に素晴らしいです。
今回はダンスホールレゲエシンガーの80年代前半編と称して5選しました。
サウンドの変化が目まぐるしいこの時期、80年代前期と中期では大きくサウンドが変わっています。
次回はダンスホールレゲエシンガーの80年代中期編を取り上げます。