〈連想第67回〉
前回は、すぎやまこういち先生のドラクエⅠとⅡの名曲の数々を取り上げましたが、今回は前回取り上げきれなかったⅡの名曲たちを続編として取り上げます。
2和音だったⅠに対して、3和音となったⅡは格段に音の立体感や深みが増し、今に残る数々の名曲が生み出されました。
全曲選びたいところをがんばって厳選していきたいと思います。
今回も、それぞれに素晴らしさがあるファミコンバージョンとオーケストラバージョンの両方をリンクします。
※すぎやまこういち先生は、2021年9月30日、敗血症性ショックのため90歳でご逝去されました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
1 love song 探して(Ⅱ:復活の呪文)
Ⅱの代表曲の一つであるこの曲は、プレイした多くの人が、長い時間延々聴き続けた記憶があるのではないでしょうか。
そう、ゲーム難易度が劇的に高いⅡにあって、敵が強すぎるなどのほかに難易度を上げている大きな要因、それは「復活の呪文」でした。
多くの方々が言われているとおり、私も何度この「復活の呪文」に泣いたことでしょう…
とても長い復活の呪文、一字でも間違うとそれまでのプレイが水の泡…その入力画面でかかっているこの明るく楽しげで、そして少しどこか切ない「love song探して」は、深く胸に刻み込まれています。
ファミコン版を聴いていると涙が出そうになってきます。
そしてこの曲は、元々シングルリリースすることが想定されていた曲で、アイドルが歌う歌詞付きのポップスとしてリリースされたという異色曲でもあります。
歌うのは、後に沖縄アクターズスクールで、インストラクターとして「安室奈美恵」や「MAX」などを指導した当時15歳の「牧野アンナ」です。
この曲はデビュー曲ですが、伸びやかな声で歌がとても上手く、ハイレベルなパフォーマンスなのが流石だなと唸らされます。
ゲーム中でも、ペルポイの街で歌姫アンナとして登場し、話しかけるとこの曲が流れる、という演出があります。
2 王城(Ⅱ:城)
Ⅱ唯一のまったり癒やし系。
バッハの「G線上のアリア」を思わせるバロック調の曲で、お城の雰囲気を醸し出しています。
オーケストラバージョンは、とても優雅な気分になれます。
3 街の賑わい(Ⅱ:街)
街は、フィールドから帰ってくるととても安心してホッとさせてくれますが、それもやはり音楽の要因が大きいです。
街のテーマも毎シリーズ、楽しげだったり、のどかだったり、名曲が多いのですが、Ⅱの街のテーマもシリーズトップを争うほどの良い曲です。
4 海原を行く(Ⅱ:海)
ウィンナワルツ風の軽やかなワルツ。
ⅡとⅢの海は、楽しげな明るいワルツなのですが、道標のない広い海に放り出されて自由にどこへでも行けるので、海の旅がものすごく広い未知の世界感があり、「わくわくするポジティブな旅感」を感じたものですが、その感覚にこのワルツはピッタリ合っていました。
海のテーマもシリーズ通して名曲が多いです。
5 この道わが旅(Ⅱ:エンディング)
ドラクエシリーズで一曲だけ選べ、と言われたら…この曲を選びます。
他のどれを取り上げられなくてもこの曲だけは絶対に外せません。
Ⅲのエンディングと双璧をなす名曲中の名曲で、涙なしに聴くことはできません。
難しすぎるⅡをクリアした達成感と喜び。
旅を終えた感と、ノスタルジックな曲調がリンクして、当時の想い出がセットで蘇り、たまらない気持ちになります。
それと、最近リバイバルされて放映中のアニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」のオリジナル版のエンディングテーマとして、歌詞付きのバージョンもあるのですが、この歌詞がまたこの曲にピッタリの最高に泣ける素晴らしい歌詞なんです。
今回は、ゲーム版、オーケストラ版、アニメ版、それと最後に初音ミク版の4つをリンクします。
初音ミク版はファミコン音がベースで、そして歌詞付きという胸が熱くなる相性抜群な組み合わせで、しかも動画も最高で、涙なしに見ることはできない素晴らしいバージョンとなっています。
今回取り上げたドラクエⅡは、Ⅲと並んで個人的にも特に思い入れが強く、名曲が凝縮されていて、本当に伝説的なゲームでした。
さて次回は、シリーズ最大の伝説的存在で、社会現象を巻き起こした「ドラクエⅢ」の曲を取り上げます。