フレデリック・ショパン⑥〈木枯らし〉5選

クラシック
クラシックショパンピアノ

〈連想第81回〉

前回まで4回に渡って、ショパンの代表作の1つである24曲の練習曲を取り上げてきました。

練習曲でありながら名曲揃いで、「別れの曲」「革命」「黒鍵」ほか、知名度が高く演奏機会も多い曲も多数含まれています。

そんな名曲揃いの中で、ひときわ耳を引きつける超絶技巧かつ超絶的な芸術作品である「作品25-11:木枯らし」は、多くのピアニストが迫真の演奏を残しています。

この激しく魂を揺さぶる大名曲は、狂おしく、表現できない感情を心の底から湧き起こさせる、他に類を見ないタイプのかっこいい名曲です。

この曲に限りませんが、こういう曲を聴くと、「ここまで来るのにどれだけの努力と研鑽を重ねたんだろう…」と、感嘆の思いが込み上げてきます。

前回は、人気ユーチューバーピアニスト「かてぃん」こと「角野隼斗」さんの素晴らしい「木枯らし」を取り上げましたが、今回は、その他の様々なピアニストによる演奏を聴き比べ的に取り上げていこうと思います。

1 MIDI自動演奏

のっけからピアニストではありませんが…この曲の難易度の物凄さが視覚的にわかって面白いMIDIによる自動演奏です。

こんなことをピアニストの方々は生身の手指でやっているのかと思うと、すごすぎる!とあらためて思います。

しかも手指だけじゃなくペダルの操作もあるので信じられないです。

2 マウリツィオ・ポリーニ

既に何度も取り上げているイタリアのマウリツィオ・ポリーニです。

第6回:1960年ショパンコンクールでは、巨匠ルービンシュタインに「全審査員の中にも彼のようには弾けるものはいない」と称賛され、審査員全員一致で1位でした。

テクニックの完璧さと表現力を兼ね備えた演奏から、当時は天才の呼び声高く、現在においても最高峰のピアニストの一人です。

この難曲は、プロのピアニストでも危なっかしい感じがしたりすることもありますが、ポリーニの演奏は安定していて、安心感があります。

3 ヴラド・ペルルミュテール

ロシア帝国(現リトアニア)出身ながら後にフランス国籍を取得しフランス人となったポーランド系ユダヤ人ピアニストです。

ラヴェル自身から演奏の手ほどきを受け、当時のラヴェル弾きの筆頭でしたが、コルトーにも師事し、ショパン弾きとしても高名だった名匠です。

とても味わい深く、胸に迫る哀愁がこれ以上なく醸し出されていて、まさに熟成された演奏といった趣です。

4 ユンディ・リ

第14回:2000年ショパンコンクール1位だった中国のユンディ・リです。

この曲はコンクールで披露して大きなインパクトを残しました。

とてもダイナミックでドラマティックで狂しく感情に訴えかけてくる演奏です。

5 KUBOちゃん

映像と音声のギャップがとても魅力的なユーチューバー「KUBOちゃん」さんによる木枯らしです。

プロではない方による演奏って、逆に「すごい!」って思ったりします。

ピアノが、ショパンが大好きだという純粋な情熱がすごく伝わってきます。

今回は、ショパンの24のエチュード:練習曲の中から、その最高峰とも言える「作品25-11:木枯らし」の、様々なピアニストによる演奏を取り上げました。

色々な木枯らしがあって、それぞれの演奏者の思いを感じ、とても胸が熱くなります。

そしてこの曲を作ったショパンはやはり天才としか言いようがないな、と感じます。本当にかっこいい曲です!

さて、次回はドビュッシー〈ショパン関連曲〉の回に取り上げたもう一つの作品集である「プレリュード:前奏曲」を取り上げます。

こちらも練習曲と同様、24曲からなる作品集で、誰もが耳馴染みのある曲なども含まれています。