ジェイ・ディラ 7選

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〈連想第29回〉

前回取り上げた「ザ・ファーサイド」の2ndアルバムへの参加を契機に、急にシーンに登場した印象の不世出のプロデューサー「ジェイ・ディラ(=ジェイ・ディー)」ですが、その活動期間はわずか11年あまりでした。

2006年に32歳で病死した「ジェイ・ディラ」は、その短い活動期間に自身のグループ「スラム・ヴィレッジ」としての活動のほか、様々なアーティストと様々なスタイルで名曲を量産しました。

ソウルやジャズを基盤としながらも、型破りなサンプリングも数知れず、後の「ローファイ」や「チルホップ」などの先駆とも言える内省的で幻想的な曲調で一時代を築きました。

初期の頃は特に、フィルターをかけたフワフワした上ネタに深く沈むシンセベースとカチカチした硬質なドラムが特徴で、出身地であるデトロイトを象徴するサウンドともなりました。

今回はそんな「ジェイ・ディラ」がプロデュースした曲から7選します。

1 Phat Kat – Dedication To The Sucker(1999)

ジェイ・ディラと共に「1st down」というコンビを組んでいたデトロイトのラッパー「ファット・キャット」のソロEPに収録されているタイトル曲です。

デトロイトの空気感を感じるアンダーグラウンドで幻想的なサウンドです。

元ネタは「ロン・プロビー」の「thanks for the lift」です。

2 De La Soul – Stakes Is High(1996)

「デ・ラ・ソウル」の4thアルバムに収録されているタイトル曲。

元ネタは「アーマッド・ジャマル」「swahililand」の7:33~です。

さらに自らリミックスした、フワフワネタ+カチカチドラムのアンリリース・リミックスバージョンもあります。

3 Common Ft Erika Badu – The Light( J Dilla Remix)(2000)

全面的にプロデュースを手掛けた「コモン」の4thアルバムに収録されている自身の曲を自らリミックスした曲。

元ネタはlaro schifrin「middle of the night」です。

4 Artifacts – Ultimate(Jay Dee Remix) (1997)

アンリリース曲を集めたEPに収録されている曲。

この曲は「D.I.T.C」の「ショウビズ」によるリミックスもテンションが上がる系でめちゃめちゃかっこいいですが、打って変わって全く違う雰囲気のこのジェイ・ディラリミックスもらしさ全開で素晴らしいリミックスです。

元ネタは、「パット・メセニー・グループ」の「san lorenzo」です。

5 Kieth Murray – The Rhyme (The Ummah Remix)(1996)

「EPMD」の「エリック・サーモン」率いる「デフ・スクワッド」の「キース・マリイ」のセカンドアルバム収録曲のリミックス。

元ネタは「ビル・エヴァンス」「what are you doing the rest of your life」の0:16あたりです。

サビで一瞬、ド定番ネタの「ボブ・ジェームス」「nautilus」も使われています。

6 Busta Rhymes – Ill Vibes(The Ummah Remix)(1996)

元「リーダーズ・オブ・ニュースクール」の「バスタ・ライムス」のソロデビューアルバムに収録されている曲のリミックス。

シングルカットされた「its a party」のB面に収録されています。

7 Toshi – Nothing But Your Love(Jay Dee Remix)(2000)

久保田利伸との曲です。

1990年代後半にはジブラ、プシンがDJプレミアと、リノがビートマイナーズと、マイクロフォン・ペイジャーがショウビズと、ライムスターがバックワイルドとコラボしてましたが、久保田利伸はジェイ・ディーとコラボしてました。

今回は、ジェイ・ディラのプロデュース曲を7選しました。

まだまだ他にも、自身の未発表トラック集や「マッドリブ」とコンビを組んだ「ジェイリブ」としての曲、そして遺作となったアルバム「dounuts」からの曲などたくさんの名曲があるので、いずれまた別の機会に取り上げたいと思います。

しかしそれらとはまた別に、とても重要な作品達にも今回は一切触れていません。

それは自身のグループ、「スラム・ヴィレッジ」の作品と、自身の引き立て役でもあり盟友でもあった「ア・トライブ・コールド・クエスト」の作品です。

ジェイ・ディラは、この2グループでの活動が特に数も多かったため、次回以降それぞれのグループでのプロデュース曲をあらためて取り上げようと思います。

という訳で次回、まずは出身地デトロイトの自身のグループである「スラム・ヴィレッジ」を取り上げます。