〈連想第31回〉
前回まで連続して「ジェイ・ディラ」が手掛けた作品を取り上げてきましたが、今回はその「ジェイ・ディラ」が全面プロデュースした「ア・トライブ・コールド・クエスト(ATCQ)」の5thアルバムを取り上げます。
「ア・トライブ・コールド・クエスト(ATCQ)」は、「キュー・ティップ」、「ファイフ・ドーグ」、「アリ・シャヒード・モハメド」、「ジェロビ・ホワイト」の4人からなるグループです。
ジェロビが早々に脱退した後、1998年に解散。その後2006年に再結成しますが、2013年に再解散します。
前回以前から複数回に渡り取り上げている「ジェイ・ディー」は1996年の4thアルバムから全面的にプロデュースするようになりました。
「Qティップ」は「ジェイ・ディー」に絶対的な信頼を寄せ、自身のグループの全面プロデュースを任せると共に、自身のソロや交流のあるアーティストへもどんどん紹介して、活動の後押しをしました。
その第1段が以前取り上げた「ファーサイド」の2ndアルバムだったわけですが、それを皮切りに怒涛のごとく名曲を量産しました。
そのキャリアを決定づける活動がこの「ATCQ」のアルバムプロデュースだったわけです。
解散前のラストアルバム(その後再結成)となった5thアルバム「the love movement(1998)」は、ほとんどの曲を「ジェイ・ディー」がプロデュースしています。
「ジェイ・ディラ」の回でも紹介しましたが、特徴であるフィルターをかけてフワフワした上ネタに、深く沈んだシンセベース、カチカチした硬質なドラム、という特徴が全体に貫かれていて、とても統一感のあるアルバムになっています。
今回は、「ジェイ・ディラ」の才能がいかんなく発揮されたトライブの5thアルバムから5選します。
1 Find A Way
トーワ・テイ(towa tei ft.bebel gilberte「technova」2:30あたり)をサンプリングしたことでも有名です。
シングルカットもされた、トライブ×ジェイ・ディラの代表曲です。
2 Basta’s Lament(1998)
ジェイ・ディラお得意のフワフワネタ&カチカチドラムの名曲。
ずっと聴いていられる心地よさです。
元ネタは「feather」「goin’ through changes」の冒頭です。
3 4 Moms ft.Spanky(1998)
ラップが入っていないインストの曲で、その代わりにギタリストのスパンキーがフューチャリングされています。
ギターがかっこいいです。
4 The Love
「フレディ・ハバード」の元ネタ「little sunflower」がとても美しい曲。
切なさが込み上げ、胸に迫りくる感覚になります。
5 Common Ground
これもフワフワ&カチカチ系の心地よい曲です。
今回はジェイ・ディラの盟友的存在、「ア・トライブ・コールド・クエスト」の5thアルバムから5選しました。
サウンドの統一感が凄いです。
ジェイ・ディラがトライブの作品に深く関わることとなったのは、一つ前の4thアルバムからでした。
その時は「ジ・ウマー」というプロデューサー集団の一員として全面プロデュースしましたが、その音を聴くと、大部分がジェイ・ディラのものであることは一目(聴)瞭然です。
というわけで次回は、トライブの4thアルバムから5選します。